気温 14℃
新編 風雪のビヴァーク (松濤 明) を読み終えた。
我々ガ死ンデ 死ガイハ水ニトケ、ヤガテ海ニ入リ、魚ヲ肥ヤシ、
又人ノ身体ヲ作ル 個人ハカリノ姿 グルグルマワル
北鎌尾根から焼岳の縦走に出発したが
連日の風雪のため北鎌尾根にて遭難 (享年28)
凍える指先で綴 られた手帳の文字は、行動記録から、
やがて静かに死を待つ者の遺書へと変わってゆく。
ガーデニングに親しむ様になってからというもの
以前とは比べようも無く 土に触れるようになった。
土は太古からの 生きとし生けるものの死骸
そして1グラムの土の中には何十億もの微生物が蠢いている。
屋久島の土壌が豊かなのは打ち上げられた無数の鮭たちが
分解され やがて山へ海へと還元されるからだ。
肥沃な土地の木々は巨木になって葉を茂らせ 季節が巡ると落葉し
フカフカの腐葉土となって生物達の布団に ダンゴムシ達の食料ともなる。
そしてやがて全ては土に還る。
鮭もリスもダンゴムシも倒木も いずれ 土に還る。
グルグルマワル 個人ハカリノ姿・・・そんな風に私も思っている。
強烈な意思 早熟 圧倒的な登山能力 表現力 そして悲劇的な最期
賢いうえに純真 繊細にして不屈の闘士 情けの深い 愛すべき男
遠藤甲太 氏より
私が残念に思うことは松濤明を理解している筈の遠藤甲太氏が
この様に述べている事だ。
抹香臭いものを嫌ったリアリスト明にしても、ここに至って、
代々お寺さんであった松濤家の血脈が露呈し、輪廻本体論への祈念諦観が
おのずから迸ったのだ。 徹底的なリアリズムの、はるかなる飛翔・・・
遠藤甲太 氏より
生まれ 朽ち 一粒の砂になる。
この世のものは一つ残らず還元され グルグルマワル。
遠い過去から遥かな未来 循環を繰り返すのだ。
このことは純然たる事実で ガーデナーをはじめ生き物に携わっている人のみならず
沢山の人々が折りに触れ感じていることではないでしょうか。
なんだか私自身も抹香臭いと言われたようでちょっと心外でした。
ガタガタと窓を打つ風にさえ松濤明を思い浮かべてしまう 如何なものか・・
松濤氏と有元氏に捧ぐ。